※今後の研究会の予定はこちらへ。

◆2014年度の記録

▼オペラ/音楽劇研究所 2014年度1月研究例会(2)(第137回オペラ研究会) 終了


◇日時:2015年1月31日(土)14:45~16:15

◇会場:早稲田大学 早稲田キャンパス 8号館 B107教室

◇内容

・発表者:丸本隆  

・発表題目:「オペラの「虚像」と「実像」

       ―ナショナリズム/トランスナショナリズムをめぐって」 

※この催しは発表者による最終講義(早稲田大学法学部)の連携研究会として行われました。

 [報告]

丸本隆先生の最終講義を兼ねて行われた今回の研究会―。先生はオペラの歴史的な流れをヨーロッパ史の中に位置づけながら、オペラをめぐる重要なテーマの一つ「オペラとナショナリズム/トランスナショナリズム」について考察を加えられました。 


終了後は、大隈会館にて懇親会が行われ、オペラ/音楽劇研究所およびオペラ研究会のメンバーのほか、丸本先生の教え子の皆さんが大勢駆けつけました。 

     (文責:Web担当)

                            ※写真は一部加工してあります。


▼オペラ/音楽劇研究所 2014年度1月研究例会(1) (第136回オペラ研究会) 終了


◇日時:2015年1月10日(土)17:20~18:50

◇会場:早稲田キャンパス 8号館 219会議室


 [内容]特別企画

 ・題名:今年度までの活動総括と来年度からの活動方針についての説明及び意見交換


[参加者]13名


▼オペラ/音楽劇研究所 2014年度12月研究例会(第135回オペラ研究会) 終了

 

◇日時:2014年12月13日(土)17:20~18:50

◇会場:早稲田キャンパス 8号館 219会議室


[内容]報告  

・報告者:和田タカ子

・題名:異彩を放つ小さな町からのメッセージ・オペラ彩の30年


オペラ研究会会員で、特定非営利活動法人「オペラ彩」理事長・プロデューサー、声楽家の和田タカ子さんに、設立の経緯や、これまでの公演について、映像資料を交えてお話していただきました。

<参考>特定非営利活動法人 オペラ彩公式サイト


[参加者]14名

(C)早稲田大学オペラ/音楽劇研究所
(C)早稲田大学オペラ/音楽劇研究所

▼オペラ/音楽劇研究所 2014年度11月研究例会(第134回オペラ研究会) 終了

                              

◇日時:2014年11月15日(土)17 : 20~18 : 50

◇会場:早稲田キャンパス 18号館国際会議場・共同研究室(7)

 

◇発表者:笠原真理子

◇発表題目:卒業論文報告「ヴェリズモ・オペラの演出における歴史性

             ―フランコ・ゼッフィレッリを中心に―」 

 

内容] 

本発表は、発表者が昨年提出した学士論文の報告である。発表者は「ヴェリズモ・オペラが作品の成立した当時における『現在』を描き出したことに意味があるのだとすれば、それを上演するときには既に過去となってしまっている『現在』をどのように演出しているのか」という問題提起を出発点として、ヴェリズモ・オペラの2作品『カヴァレリア・ルスティカーナ』と『道化師』の演出内容について分析した。分析方法としては、ある作品が作品の出来た頃の時代的背景をどの程度反映させているか、ということを「歴史性」と呼んだ上で、両作品の作品背景を解釈し、更にはヴェリズモ・オペラの作品の演出における「歴史性」を、Franco Zeffirelliが1982年に演出したプロダクションを軸にして検証している。その際にZeffirelli以前の演出、Zeffirelliが1978年に演出したプロダクション、そして彼以後の二人の演出家(Graham Vick, Giancarlo del Monaco)を取り上げて比較対象とし、それぞれの演出を登場人物の描き方によって分類した。その結果、彼が演出において目指したものが、「大道具の派手さや小道具のリアリズムを重視した演出」ではなく、彼が言うところの「オペラの規則である壮麗さ」であったことを明らかにして結論とした。

 

[質疑応答](一部紹介)

ヴェリズモ・オペラ自体についての掘り下げた分析、歴史性という言葉の意味の内容、Zeffirelliのオペラ作品以外での演出について質問があった。また、ヴェリズモ・オペラがもつ特色であるローカル性や、Zeffirelli自身の演出特色について議論が行われた。

 

[参加者]19名

(C)早稲田大学オペラ/音楽劇研究所
(C)早稲田大学オペラ/音楽劇研究所

▼オペラ/音楽劇研究所 2014年度10月研究例会(2)(第133回オペラ研究会) 終了

 

◇日時:2014年10月25日(土)14:30~19:45

◇会場:早稲田大学 早稲田キャンパス 9号館(5階)第三会議室

◇内容:オペラ/音楽劇のキーワーズ 相互批評会

 

[参加者]14名

(C)早稲田大学オペラ/音楽劇研究所
(C)早稲田大学オペラ/音楽劇研究所

▼オペラ/音楽劇研究所 2014年度10月研究例会(第132回オペラ研究会) 終了

 

◇日時:2014年10月4日(土)17:40〜19:20

◇会場:早稲田大学 早稲田キャンパス  18号館国際会議場 共同研究室(7)

◇内容:研究発表

・発表者:岡本佳子 

・発表題目: 博士論文報告「神秘劇をオペラ座へ――バルトークとバラージュの

      共同作品としての『青ひげ公の城』」

 

[内容]

 本報告は学位論文「神秘劇をオペラ座へ――バルトークとバラージュの共同作品としての『青ひげ公の城』」の内容の発表である。この論文で筆者は、ハンガリーの作曲家バルトークのオペラとして知られる『青ひげ公の城』を ①バルトークと他の芸術家・思想家の当時の交流状況、②劇作家バラージュによる原作戯曲の解明、③作者2人の共同制作状況および戯曲とオペラの作劇法の差異 の点から論じ、最終的にはバルトークとバラージュの共同作品としての側面を明らかにした。報告では初めに上記の論文要旨を紹介し、次に本論の中から第1章「『国民音楽』の殿堂――ハンガリー・オペラと王立歌劇場」を取り上げて詳細に報告を行った。

 本章ではハンガリー王立歌劇場が設立された1884年から1909年のプログラム全体の分析を行うとともに、同時代の音楽評論を参照して当時のオペラ制作状況を明らかにしている。そこから見えてくるのは、1896年の建国千年祭におけるハンガリー語オペラの制作の盛り上がり、楽劇やヴェリズモ・オペラからの影響、さらに1910年に生誕100年を迎えた国民的作曲家フェレンツ・エルケルに続く、国内のオペラ作曲家を期待する気運である。

 しかし当時の「ハンガリー人」作曲家の作品は多様であり、王立歌劇場におけるフランツ・リスト作品のインパクトを初めとして、考察するべき事項はいまだ多い。このような基礎的研究はいわゆる「国民オペラ」の内訳を明らかにするために欠かせない作業であり、今後チェコやポーランドといった他地域との比較研究が待たれる。

 

[質疑応答](一部紹介)

実際の個別の作品や当時の上演言語・上演形式、ハンガリー国内での他の劇場、『青ひげ公の城』の題材となった「青ひげ」について質問があった。さらに他地域の「国民楽派」との比較や当時のナショナリズムとの関連について議論を行った。

 

[参加者]19名

(C)早稲田大学オペラ/音楽劇研究所
(C)早稲田大学オペラ/音楽劇研究所

▼オペラ/音楽劇研究所 2014年度7月研究例会(第131回オペラ研究会) 終了

 
◇日時:2014年7月12日(土)16 : 15〜18 : 50 
◇会場:早稲田大学 早稲田キャンパス 8号館219会議室
◇内容
 
<第1部>「オペラ/音楽劇キーワーズ」第6回  16 : 15〜17 : 15
                   「ベッリー二」と「楽譜」(報告者:長屋晃一)
 

<第2部>研究発表  17 : 2018 : 50

発表者: 三浦 領哉

題目: セルゲイ・ラフマニノフのオペラ作品における作曲思想と作曲技法 

      ―原詩と歌唱旋律の扱いをめぐる試行 

 

[内容]

 ラフマニノフの3 作のオペラとその間に位置する独唱付きカンタータ《春》(1902)を通じて歌唱旋律を比較すると、《アレコ》(1892)から《フランチェスカ・ダ・リミニ》(1905)にかけて、完全にアリア主体であった歌唱が、レチタティーヴォ主体の歌唱へと4 作を通して段階的に見られ、明確にラフマニノフの作曲技法の変化と考えることができる。《けちな騎士》(1905)では、ダルゴムイシスキーに始まる「ロシア語のアクセントに沿った歌唱の実現」という作曲思想に則った作品としてレチタティーヴォが支配的となり、全編を通して「言葉で語る」歌唱を実現させている。《フランチェスカ》ではデクラメーションが現れるが、歌唱から音高を剥奪し、語りに徹するというデクラメーションの書法は、合唱における書法の変化と対照をなしている。

 合唱の書法としては、当時模索していた独唱のレチタティーヴォに合唱パートのハミングを重ねる書法や、レチタティーヴォの書法を合唱にも適用する手法を用いている。《フランチェスカ・ダ・リミニ》では、合唱のほとんどにヴォカリーズを指定して明確に人間の声を楽音として使用する書法に至った。合唱から歌詞を剥奪し楽音としての合唱に徹する、一種フォルマリスティックと言えるこの書法は、独唱におけるデクラメーションと対をなしている。この大きな変化は、合唱に対する根本的な認識の転換を伴うものであり、ラフマニノフのオペラ作品の発展の中でもとりわけ大きな意味をもつものであると発表者は考える。

 

[質疑応答](一部紹介)

 合唱の書法に関して、唱法にかかわる分析だけでなく歌詞テクストに即した考察ができるとなお良いとの指摘があった。また、合唱のヴォカリーズに関しては部分的ではあるが西欧のオペラにそれ以前から例が見られるため、それらの例との関わりについて質問があった。

 

[参加者]21名

(C)早稲田大学オペラ/音楽劇研究所
(C)早稲田大学オペラ/音楽劇研究所

▼第130回オペラ研究会 終了

 

 公開講座「オペラを身近に!― アリアを聴き、制作現場を追体験する」

・日時:2014年6月21日(土)13:00~18:00

・会場:早稲田大学大隈記念講堂・小講堂

・内容:レクチャー+歌唱鑑賞+ディスカッション

・案内:丸本隆(早稲田大学法学学術院教授)

 

<第1部>講師:八木清市(舞台監督協会理事)

<第2部>講師:岡部雅弥(音楽事務所AMATI)

<第3部>講師/演奏:池野博子(二期会、メゾ・ソプラノ)

            村田ゆう子(二期会、ソプラノ)

                              岡部雅弥(音楽事務所AMATI)

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<第3部>演奏曲目       ※I:池野博子、M:村田ゆう子、ピアノ:岡部雅弥

1.ヘンデル:オペラ《セルセ》より〈なつかしい木陰よ〉(I)

2.モーツァルト:オペラ《コジ・ファン・トゥッテ》より 〈女も15歳になったら〉(M)

3.モーツァルト:オペラ《フィガロの結婚》より〈奥様、お先にどうぞ〉(I, M)

4.同 〈恋人よ、早くここへ〉(M)

5.ロッシーニ:オペラ《チェネレントラ》より 〈悲しみと涙のうちに生まれ〉(I)

6.オッフェンバック:オペラ《ホフマン物語》より

               オランピアのアリア〈生け垣に小鳥たちが〉(M)

7.同 〈見ろ、震える弓の下で〉(I)

8.同 〈美しい夜、おお恋の夜よ〉(ホフマンの舟歌)(I, M)

 

[参加者]13名(オペラ研究会会員分のみ)


▼オペラ研究会 2014年度6月研究例会(第129回オペラ研究会) 終了

 

・日時:2014年6月7日(土)17:20〜18:50

・会場:早稲田大学 早稲田キャンパス 8号館 219会議室

・研究発表:

発表者:長屋晃一   

題目:観る音楽――ヴェルディのオペラにおける視覚性――

        

[内容]

 本発表は、ヴェルディのオペラ(メロドランマ)の分析に、新たな視点と方法を提示することを目的とした。その視点とは、音楽の「視覚性」である。従来の分析に顕著な、動機や和声といった個々のパラメーターや、詩と音楽の整合性では、ヴェルディのオペラを説明することは難しい。ヴェルディは作曲時、あるいは台本作成時から舞台上演を具体的にイメージしていたと考えられる。


 発表者は、「視覚性」という視点を取り入れることで、音楽が抽象的というよりは、具体的な何かを指示することを示した。そのため、音楽をパラメーターごとに分解するのではなく、それぞれが組み合わされた総合体として、「①現実の音・運動の模倣」、「②登場人物の移動・身振り」、「③感情表出」に三分類する。また、視覚的な意味をもたず、単に調子を整えるために置かれた音楽は、隣り合う音楽を繋ぐ触媒の役割を担う。

 これらの分類項は、実際には組み合わされたり重ねられたりすることで、複雑な様相を呈し、音楽の担い手である主体の焦点化や変化を導く。発表者は《リゴレット》第1幕第13場以降を例に取り上げ、上記の分類がどのように機能し、聴衆の焦点を導くかを例示した。また、《シモン・ボッカネグラ》プロローゴ冒頭において、初演版(1857)と改訂版(1881)の差異が、分類項の利用の仕方の違いであることを示した。これらの例において、物語と舞台状況と音楽のいずれかが、あるべき定型の組み合わせから外れた一種の「反語」として表されており、ヴェルディは相反する組み合わせがドラマにとって欠かせないと考えていたことが窺い知れる。

 

[質疑応答](一部紹介)

 発表者が提示した分析方法について、ヴェルディの音楽がもつドラマを明らかにすることにある程度有効である一方、「反語」といった用語が適切か考慮する必要があるという指摘があった。また、この分析方法の適用範囲についても議論がなされた。

 

[参加者]19名

(C)早稲田大学オペラ/音楽劇研究所
(C)早稲田大学オペラ/音楽劇研究所

▼オペラ/音楽劇研究所 2014年度5月研究例会(第128回オペラ研究会) 終了

・日時:2014年5月17日(土)16:50〜18:50 
・会場:早稲田大学早稲田キャンパス8号館219会議室
・内容
<第1部>オペラ/音楽劇のキーワーズ シリーズ第5回 16:50~17:20
「モーツァルト以前のジングシュピール」(報告者: 長谷川悦朗)

 

<第2部>研究発表 17:20~19:00
発表者:佐藤 英

題目:オペラ研究における放送アーカイブの活用の可能性
    ―1940年代後半から1950年代前半の日本における録音を中心に―

[内容]

 1940年代後半から1950年代前半にかけて、放送技術の急速な発達があった。今回の発表では、こうした技術的な進歩とラジオのオペラ番組との関わりを示すという観点から話を進め、それを踏まえて放送アーカイブの活用の可能性を示した。

 この時期の録音機の発達は目覚ましく、1949年から国産の長時間アセテートディスクの生産が始まり、片面で最長15分の録音が可能になった。さらに、1952年頃には、テープ録音が本格的に導入されている。こうした録音技術の発達を背景に、オペラの収録も、1949年以降、放送の現場において積極的に行われた。その収録内容は、スタジオ制作のものから、公演の中継録音まで、多岐に及んでいる。この時期に国内で制作された長時間の商業用オペラ録音は、ほとんど存在しないため、これらの放送の録音は、当時の演奏の実情を知るための貴重な資料となり得るのである。

 放送技術の発達がオペラ番組へと及ぼした影響という点では、ステレオ放送の開始も大きな意味があった。NHKでは、1954年から、ラジオの電波二波を用いたステレオ定時番組「立体音楽堂」が始まっているのである。日本の作曲家は、電子音楽やミュージックコンクレートを用いつつ、ステレオ放送の新しい可能性を模索するオペラや音楽劇の作曲を行った。その代表的な例は、林光の「裸の王様」(1955)や三善晃の「オンディーヌ」(1959)などである。これらの放送テープも、当時のオペラ放送の実情を把握するための資料として、活用が可能なのである。

 

[質疑応答](一部紹介)

 オペラのハイライト番組の作成に関するNHKの技術の蓄積、「NHKオペラハウス」や「希望音楽会」の番組内容、NHK交響楽団のオペラ放送への関与、民放のオペラ放送などを中心に、議論を行った。

 

[参加者]23名

 

(C)早稲田大学オペラ/音楽劇研究所
(C)早稲田大学オペラ/音楽劇研究所

▼オペラ/音楽劇研究所 2014年度4月研究例会(第127回オペラ研究会) 終了

 

・日時:2014年419日(土)17301830 

・会場:早稲田大学 早稲田キャンパス18号館 国際会議場・共同研究室(7) 

・内容:オペラ/音楽劇のキーワーズ シリーズ第4

「フェミニズム/ジェンダー」(報告者:関野さとみ)

「ロシア」(報告者:三浦領哉)

 

[参加者]20名

(c)早稲田大学オペラ/音楽劇研究所
(c)早稲田大学オペラ/音楽劇研究所